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『教育を経済学で考える』(小塩隆士) [書籍紹介]

「おしお・たかし」さんは東京大学教養学部で国際関係論を学び、
経済企画庁に入庁しました。その後、イェール大学け経済学の
修士号を取得。JPモルガンを経て立命館大学経済学部助教授、
東京学芸大学教育学部助教授。大阪大学で博士号取得。
テーマは国際公共政策。

2003の著作です。

「学校が教育から手を引き、子どもが勉強しなくなり、親も厳しく言わない
ようになると、日本の将来がどうなるかはだいたい想像がつく。同一内容の
労働であれば、国家間の労働移動が実際に進まなくても、財の貿易取引を
通じて労働賃金は均一化の方向に向かう。これが、グローバル化の進展や
国際競争の激化がもたらす経済学的帰結」(4ページから5ページ)
だそうです。

「要素価格均等化定理」(5ページ)と言うのです。

「学校と家庭が共同歩調で進める教育からの逃避行動は、
グローバル化の中ではとりわけ単純労働の賃金水準を
引き下げる。日本の単純労働に対する報酬は、その他アジア
諸国におけるそれに限りなく近づいていくだろう。」(5ページ)

 筆者は「技術開発のペースも基礎学力の低下によって諸外国と比べて後退する」のが
普通の見方であるとしています。


 読者の皆さんは、教育の「外部経済効果」をどのように考えていますか。

 一般に教育は「投資」であり、大学教育は年利10パーセントぐらいと
考えられています。1億円のマンションを買えば、毎年1000万円の
家賃収入が得られるというようなものです。

 1996年に当時の経済企画庁が公表した『国民生活白書』によれば
1935年生まれの男子は11.1パーセント、1965年生まれの男子で
9.0パーセントでインフレの分は調整してあります。これを大学教育の
収益率と言います。

 しかし、これは「個人」のことです。社会全体としては、ある程度の
教育を受けた人間で構成されることで大きな利益があると考えられます。
そのために「強制的に」教育を受けさせ、その財源を税金に求める根拠が
生じるのです。

 水道や道路に近い機能が「教育」にはあるのです。しかし、土曜日を
休みにしたり、授業内容の削減を行った結果、児童・生徒の学力は
明らかに低下し、「ゆとり教育」は終焉を迎えました。

 日本の道路が傷み、水道管の老朽化が進行しているのと
同じです。

 こうした現状を危惧する方々にご一読をお願いしたい
書籍です。


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ONESTEP恩多町教室

教育は、未来だと信じています!

大学全入時代に入り、内向き・安全志向の人が増え、一番勉強をして欲しい高校生の半分が推薦で大学に入り競争が少なくなる昨今。
大学教育が今後の日本の将来に大きく影響してくると考えます。

在日米国大使によるアイビー・リーグの説明会の映像を見たことがありますが、
アイビー・リーグへの留学生も中国・韓国をはじめ各国に比べ圧倒的に少ない日本
今後20年の国際競争力において日本はどのようになるのかとても心配です。

教育者として、視野を広く可能性を拡げること
できることをやっていこうと思っています。


by ONESTEP恩多町教室 (2010-07-06 20:53) 

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