卒業するあなたに

　穏やかな陽光を浴びて、巣立つ日を迎えましたね。
義務教育を修了して新しい世界に飛び込んで行きます。

　「酸いも甘いも嚙み分ける」と言いますが、「酸い」は
厳しい体験を指します。入学以来、ずっと一緒だった級友が
別々の進路となっていきます。希望が叶った人もそうでない
人もいるでしょう。

　強い思いが実らず、涙を流したこともあるでしょう。進路が早く
決まる人、遅く決まる人、願いが叶う人、叶わない人、それぞれの
思いが交錯するのが中３の秋から冬にかけての季節です。

　素晴らしいワインを作る葡萄は荒れ地に根を張ると言います。
自らを甘やかす環境では鍛錬が出来ないのだそうです。厳しい
土の中に１０メートルもの根を張る力が凝縮されて秀逸なワインを
生むのです。

　義務教育の後は自ら選択した道を歩むのですが、いつでも
願いが叶うとは限らない厳しい道です。でも、それが大人への
道なのです。

　「学ぶ」とは誠実を胸に刻むこと、「教える」とは希望を語ること、私は
そう信じています。巣立つあなたは誠実に学んできたと思います。
これからも誠実に学び続け、そして後に続く人々に希望を語り、
行くべき道を示してください。

　私が中学の教員をしていた時の最後の卒業式では卒業生が
『大地賛頌』を歌いました。「土に感謝せよ」

　「土」とは何でしょうか。皆さんは土の中で育ち、土として次の世代を
育むのです。

　皆さんの活躍を祈念しています。



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タグ：卒業 大地賛頌 土に感謝